つぎさん家

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独り言がだだ漏れ

職人と呼んでもいいですか?

どうも つぎです

 

皆様いかがお過ごしでしょうか。いつも通り私は伸び伸びと北海道の夏を満喫しております。

 

さて、先日札幌市内のオーディオショップへお出かけしてきました。

 

 

 

札幌白石区にある『ノースサウンド・プロ』さんです。

 

オーナーの方はおいくつでしょうか?そういえばお聞きしませんでしたね。

 

お店の中に入ると自作スピーカーがずらっと並んであり、レコードからカセットデッキなどの機器類が壁に陳列されている風景が広がります。すると、早速お声がかかりました。

 

「どんなのを探してるの?」

 

私は試聴しに来ただけだったので、特にどんなのとは言葉を用意してなかったのですが、とりあえず「以前から気になってたので、覗きに来ました。」と返答。

 

すると、どんな構成で聴いてるのかなど根掘り葉掘り聞かれましたw

 

簡単にやり取りを箇条書きすると(オーナー:オ、つぎさん:つ)

 

オ「自宅のシステムは何?」

つ「タンノイとSPECのシステムです。」

オ「タンノイはいつのタンノイ?アンプはいくらぐらいの使ってるの?」

つ「現行のターンベリーとアンプはパワーアンプで1台35万円程度です。」

オ「ターンベリーね。アンプはそんなにするの!?」

 

ここまでは別に反応としてはおかしくないのですが、次からのやり取りが猛烈なバッシングを受けます。

 

オ「アンプはそんなのいらないよ!タンノイも今のやつはダメだ!」

つ「そうですかぁ・・・」

 

思わずびっくりしてしまいましたが、ここからが本番です。そう言い放った訳をしっかりとオーナーは説明してくれました。

 

オ「今のスピーカーじゃアンプが非力だと鳴らない。だから出力あげて無理やり必要ないパワーでスピーカーをドライブするでしょ。そんなのでね、音は出てこないでしょ。」

つ「確かにそうですね。」

オ「能率100dBは最低ラインかな。」

 

そう仰るオーナー。確かに100dBのスピーカーの音の出方はなんとも言えない張り出し方で、まさにリアリティのある音は100dBスピーカーにしか出せません。そう言い放ったあと、お店に置いてあった自作スピーカーを聴かせてくださいました。

 

オ「これは同軸2WAYで、1年かかって作ったエンクロージャー。売り物じゃないんだけどね。」(大きさはターンベリー/GRより少し大きいくらい)

 

木材でできており、突き板と筐体の材質はカエデだったような気がしますが、はっきりとは覚えてません。しかし、加工などはかなり凝りを感じさせ、まるで自作とは思えない造りでした。売り物ではありませんが、100万で売っても赤字だって言ってました。出てきた音は、素晴らしいの一言。オーナーの最低ライン100dBはクリアしているため能率が高く、低域〜高域までの繋がりが素晴らしかったです。

 

オ「どうだい?比較的新しいこの小さなタンノイに切り替えてみるけど、ひどいもんだよ。」(切り替えたのは、恐らくTANNOY Stirling/TW)

 

まぁ、大きさからもどう考えたってひどいのは予想がつきましたが、ここまで酷すぎるのもどうかなと思ったぐらい酷かったです。

 

つ「すごいですね。これを自作なさったんですか。」

オ「一番奥にあるのはさらに手間暇かかってるよ。エンクロージャーに唐木を使ってるんだけど、中でもカリンってやつを使ってるんだ。北海道産のオリジナル。表面乾かすのに2年かかってるから偉い大変だったよ。」

 

そう言うスピーカーは、見た目はアルテックのホーンをRey Audio RM-11BCのエンクロージャーに追加した造りと大きさをしたかなりど迫力なスーカーです。ここは曖昧なのですが、確かユニットにはスペインのBeyma社のフルレンジユニットを使用しているそうです。そして、勧められるがまま音を聴きます。

 

つ「(うわ・・・めっちゃスゲェ)」

 

今日一番の感動です。先ほど売り物じゃないと言ったスピーカーよりもずっと現代にも通じるハイファイさと能率の高さをしっかりと感じさせる素晴らしいスピーカーでした。能率が高いとアンプのノイズを拾いがちで、ジーッとノイズが鳴り続けますが、このスピーカーはかなり最小限に抑えられていました。ダイナミックオーディオ5555の一階のように乱雑に奥まった場所でも先頭にスピーカーがあるような定位の良さは尋常じゃありません。

 

オ「どう?すごいでしょ?今まで3000万円ぐらいお金つぎ込んでた人もこのスピーカー聴いてからは落ち着いたんだよ。」

つ「すごいですね。これはおいくらですか?」

オ「だいたい180万円くらいかなぁ?これも特注品だからね。」

 

いやいや、180万円でこれなら妥当というか安いですよ。そして、オーナーと試聴しながらあれやこれやお話をさせて頂いた内容とオーナーの情熱を私の勝手な考察を交えながら、これから進めていきます。

 

まず、オーナーがバッシングをしたあとの続きがありまして、誤解の無いよう紐解いていきたいと思います。

 

まずは、オーナーと話した内容を要約して代弁するとこんな感じで言われました。

 

オ「オーディオは欲しい人だけが買えばいいものだから(材質やアンプなど)種類なんて少数でいい。アンプも本来増幅するだけなんだから10wもあればいいし、出口のスピーカーをしっかり選べばあとはプリで味付けすればいい。」

 

こう言えるのもエンクロージャーやネットワークの自作をしていること、過去の経験と知識の賜物だと思いました。

 

もう少し詳しく話した内容を噛み砕くとエンクロージャーの材質に至っては、

 

オ「ピアノは何で出来てる?色々あるけど、カエデとか主流って決まってるでしょ?変な材質でスピーカー作っても、ピアノの音って出ないんだって。ピアノの音を出したければ同じ材質使ってあげなきゃ。」

 

アンプに至っては、

 

オ「本来増幅するだけで十分なんだから10wで済むものを低能率だからパワーあげなきゃいけないでしょ。100w+100Wとか無駄。要らない。でもね、ダンピングファクターは多少必要だよ。それよりもね、アンプで増幅したあとにしっかりプリで味付けしてあげて好みの音に変えることの方が大事。」

 

こう言うんです。至極当たり前で、真っ当なことしか言ってません。

 

きっと猛烈なバッシングの影には、その当たり前のことに気付けない人が大勢いたからでしょう。今まで3千万円もオーディオにお金を費やした方の話も聞きましたし・・・。

 

私はオーディオ機器は楽器だと思っている人間だったので痛く共感してしまいました。現にSPECのアンプの材質は、スプルース材の単板とカエデ材で出来ており、インシュレーター・筐体にハイブリットで使用しています。TANNOY TURNBERRY/GRは、アメリカンウォルナット突き板/無垢材を使用しています。

 

以上のように、オーナーは確かな知識と経験をお持ちの方でした。

 

結構言い方は強めですけど、嫌味な感じは全くないんですよね。筋が通ってるんですよ。まさに、オーディオを家業として真面目に歩んできた「職人」の頑なさかなって思いました。

 

最後になりますが、私はカスタムIEMと一緒でオリジナルのカスタムスピーカーを作ってあげるのも醍醐味だなぁと改めて思いました。自作派の気持ちが少し理解できた気がします。